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プユマ式結婚式:民族式婚礼に台湾メディアも大集合。

花輪でおめかしした牛くん
【花輪でおめかしした牛君。まだ出発しないのかなぁ?】
新郎新婦が乗っていた車は牛車の止めてある木陰に横付けした。
二人は牛車の座席に座るとすぐに会場にやってくるのだと思っていたが、なかなか出発しない。
「?何やってるの?」と思わず覗きに行くとメディアのインタビュー陣に囲まれていた。
そういえば先ほどから大げさなビデオカメラを担いだ人や立派な一眼レフカメラを持った人がうろうろしていた。
今時は素人でも何十万もするデジカメを持っている時代なので、ちょっと身ではプロと素人の見分けがつかない。

中には結婚式のビデオをとる業者とかが紛れ込んでいるだろうとそのままスルーしていたのだが、
台東のテレビ局や原住民族専門チャンネルだけでなく、新聞など様々なメディアが来ていたようだ。
後日、インターネット電子ニュースサイトにおびただしい数の記事が載っているのを見た時、
「え?こんなにメディア関係者が来てたの?」とさすがにかなり驚いた。

牛車にのった新郎新婦
マスコミに囲まれる新郎新婦。
牛車出発まち。
今回の結婚式は非常に珍しいことだったらしい。
まず一つは日本人の夫婦が台湾の原住民族式の結婚式を行うと言うこと。
日本人が原住民族式の結婚式をした例がないわけではないのだが、
日本人同士ではなく、日本人と原住民族のカップルの結婚式だったそう。

また、最近では原住民族同志の結婚であっても原住民族式で
式をあげる人は滅多におらず、この式の前となるとプユマ式の結婚式は、
数年前に文化を保存するためのビデオ取りでやったのが最後だそう。

牛車が凱旋門にさしかかる
牛車で凱旋門をくぐる。
伝統的な結婚式はお金もかかるし、西洋式のドレスも着たいのかもしれないし、
とにかく他の形式で式を挙げる人が増えているらしい。
だから取材している報道陣だけでなく、式を手伝っていたプユマの女の子たちも
牛と写真を撮ったり、牛車に乗ったりしてはしゃいでいた。

加えて新婦は長年台湾の原住民族文化を研究している学者であり、
台湾留学の経験も長く、台湾に対する学識も愛情も人一倍持っている。
何よりも主催者のプユマの人たちに娘の様にかわいがられている。

マスコミ取材を受ける市長
取材を受ける市長
さらにこの式のきっかけには日本の震災も関係していたようで、
新郎新婦は2011年の春に日本で結婚したのだが、直前に震災が起こり、
結婚式を挙げるどころではなくなってしまった。
そのことを聞いたプユマの母が「それはいかん!」と立ち上がった。
「アンタは私の娘。娘の結婚式は私たちがやります!」
と、こんな感じだ。(※脚色アリ。新聞社の記事に書いてあった。)

あまりにも物語性がありすぎて、メディアが集結してしまったようだ。
原住民族の文化行事でもあるのだから、お膝元の台東市長も勿論来る。

だからご覧の通り、式の間中ずっと新郎新婦が動くところ、前に後ろに団子状になっておびただしい数の
カメラが追いかけていた。加えて私も含めて、素人カメラの数もすごい。

メディアの取材が一通り終わったところで、牛車は会場に向かって動き出しました。いよいよ式が始まります。

※記事は台湾の新聞各社の電子版などに掲載されました。一部は日本語版もありましたよ。

プユマ族の伝統的な婚礼の形

牛車聘禮:新郎新婦が牛車に乗って場内に入場

牛車の上から手を振る新郎新婦
新郎新婦が牛車にのって会場に入場してきました。 凱旋門をくぐり、場内を左回りにぐるりとまわり、親族などの列席者の座席の前を通り過ぎ牛車を降りました。

かつては結婚した後(前?)に部落を牛車で周り、お披露目していたと聞きました。 今回は公園内のみです。

牛車に乗って場内をぐるりとまわる新郎新婦を待つ長老と親族場内をぐるりとまわる新郎新婦牛車から降りる。

提親迎娶:婿入り道具を持って花婿が花嫁を迎えに行きます。

牛車に農具などを積み込み花嫁の元に向かう新郎
入場は二人同時でしたが、一端新婦と新郎が別れます。 新郎は前のページの最後にチラリと載せた道具や結納品(のようなもの)を牛車に載せ、新郎側の親族の女性と共に新婦を迎えに行きます。
結婚した後に仕事で使う農具や粟、檳榔などを携え、新婦の元へ。
手には米酒を飲むための杯を持っています。
新郎の足下にある瓶はお酒を造る物ですかねぇ?

牛車に乗った新郎新郎の親族結納品?を持って親族が追いかける

分発聘禮:花嫁に求婚中

花嫁に求婚中
新郎は花嫁の元に向かい求婚。またこの時新郎と一緒に後ろをついてきた新郎の親族女性(今回は部落の女性が代行)から新婦の親族に檳榔など、持ってきた品物が手渡されます。
(おそらく)新婦からOKの返事をもらった新郎が新婦と連れだって(親戚のいる席の方へ)歩き出しました。
ここで例の「あんたたちもお祝いしないとだめじゃない!」の日加新婚カップル合流。 牛車の後ろではないですが、新郎新婦の後ろに並んでついていきます。 (そういえばいつの間にか衣装に着替えているし。)

花嫁との婚姻が認められたっぽい新郎新婦会場中央へ移動新郎新婦と花嫁の行列

長老祝福:長老からのお祝いの言葉

頭目からのお祝いの言葉
長老からのお祝いの言葉です。列席者の半分が日本人ということもあり日本語で祝辞を述べてくださいました。 続いて台東市長からの祝辞。こちらは中国語でしたが、長老の一人(写真右下)が日本語に要約してくれました。
実はこれまでも日本語で儀式の一つ一つを解説してくださっていました。
長いこと日本語を話していなかったからか、時々言葉に詰まってしまうことがありましたが、 それほどまで気を遣ってくださっているのには感動を覚えます。

ところでぜんっぜん関係ありませんが、よく見ると市長の服装ジーパン(+キャップ)ですね。 列席者が民族衣装を着るはずなので「何を着ていけばいいのだ?」と悩んだのですが、 要するにこんな感じが普通なんですね。

お祝いの言葉に耳を傾ける新郎新婦お祝いの言葉を述べる市長市長のお祝いの言葉ずっと日本語で解説してくれていた長老

だんだんプログラムのどれがどれだかわからなくなってきましたが。

家族になったことへのかための杯1
親族になるための儀式として同じ杯でお酒を飲むようです。米で作った手作りのどぶろくです。 新婦→新郎と続いて、親族同士も酒を酌み交わします。
これで晴れて婚姻が成立し、親族となったことになるのかもしれません。

かための杯2かための杯3かための杯4かための杯4

列席者にお祝いの品を贈呈する。

列席者にびんろうと絣を渡す
先ほど新郎の親族から新婦の親族へと受け渡された品物のうち、檳榔と絣の布が列席している人たちに配られました。 男性は檳榔。女性は檳榔と絣の布です。

これは本当に頂けたのではなくて、椅子においていたら回収されていたのであくまでも儀式を模してやった様でした。

列席者に渡す檳榔と絣の織物檳榔と絣を貰ったところ檳榔と絣をもらうところ

慶婚舞(紅布舞)、抬轎祝福、祭祀

お祝いの舞1
親族役の女性たちのお祝いの歌の後、 列席している女性たちが紅い布を持ってお祝いの舞を始めました。(会場にいる女性全員参加。) 左手に紅い布をもち、左、右と交互に腕を上げながら円上に一歩ずつ進むだけの簡単な舞でした。
そしてその後、ゲスト全員が参加して踊り。長老も市長も新郎新婦も親族も、男も女もみんな参加です。

お祝いの舞2踊る市長、頭目、長老、お父上列席者みんなで輪になって踊る列席者みんなで輪になって踊る2

禮成:式の終わりの胴上げならぬイス上げ。

胴上げ1
禮成というのは式が終わるという意味らしい。プログラムのこれがこの場面で正しいのかどうかはわかりませんが、 胴上げならぬイス上げで新郎新婦から親戚までを次々飛ばします。
今回の式は子供の列席者がほとんどおらず、日本から駆けつけてきた新婦の甥っ子さん、姪っ子さんがあまりのカルチャーショックに固まっていたのが印象的です。いい思い出になったでしょう。
日頃日本のテレビに映る台湾とのギャップがすごかったんだろう。

胴上げ2胴上げ3胴上げ4胴上げ5胴上げ6

卑南餐叙:うれしはずかし、ごっはんの時間です!

お祝いの食事
お祝いの舞を取り分けた皿
儀式が全て終わったら食事の時間です。要するに宴会ですね。
先日の大猟祭で戴いた鶏酒などもありましたが、お祝いの席らしく、 彩りが綺麗で鮮やかな物が多かったです。
飾り切りしたカボチャの煮物にクコが乗ってるのなんてカワイイでしょ。

しかし、とにかくほとんどの料理が味つけが上品で実に美味しい。 豚肉や魚の唐揚げなどの味つけなどは絶妙です。
また、2日前は真ん中に肉が入った粟のおこわを頂きましたが、 今回はお餅でした。
そして例の高菜漬けにご飯をくるんと巻いて食べる豆ご飯もあった。

しかし会場がすごく広いので何となくいろんな人と会話する時間がなかったのは残念でした。 こちらが日本語一本という難題もありますけども・・・。
お酒の力を借りようにも鶏酒では酔えないし。(笑)

宴会のご馳走1宴会のご馳走2宴会のご馳走3
宴会のご馳走4宴会のご馳走5宴会のご馳走6
宴会のご馳走7宴会のご馳走8宴会のご馳走9

婚礼の儀式の終わり

お役ご免の牛さん
牛さんは新郎が新婦に求婚するまでのところでお役ご免。後は静かに終わるのを待つのみ。
プユマ式の結婚式自体が久しぶりというのでこの牛は普段は何をしているのか聞いたところ、普段は農作業などに使っているそうです。おめかしして貰ってよかったね。
最後は宴もたけなわといったところで記念撮影をしました。 左下が長老と新郎新婦。その隣が部落の女性陣と新郎新婦です。
本日は本当におめでとうございました。

長老と新郎新婦女性たちと新郎新婦テディベアが乗った車のボンネットプユマ式結婚式の牛車の牛

台湾 東海岸の旅に行きたくなったら・・・物価と旅程の目安にどうぞ。

旅行時期:2011年12月
1NT$=約2.7円

■交通:バス 台東市内-卑南文化公園 23NT$(最低料金※今回は車で連れてきてもらった。
■宿泊:原住民族文化会館 950~1050元

■成田-台湾航空券 直行便で20,000円前後~。
 台北便は通常チャイナエアラインが最も安く、続いてエヴァエア、日系という順で高くなります。
 ジェットスターなどの格安航空会社も出てきました。年末などの繁忙期は検討の価値もあるかも。
 また、日本発が午後便だと台北での活動時間が減るので午前便より安い。
 高雄便もあるけど台北に比べたら本数も少なく、おまけに台北-高雄間は新幹線で2時間。
 お金と日程、旅の目的を計算して上手に選びたい。

旅程を立てるために参考にした本やウェブサイト
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