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セデック・バレ [ウェイ・ダーョン]

日本の台湾統治後に起きた原住民族セデック族との衝突から始まった霧社事件。
民族のほこりをかけて戦うセデック族による抗日蜂起事件を史実を元にして作ったフィクションエンタメです。
日本側の立場、原住民の立場、どちらも正しく、正しいんだけど相容れないのがなんともいえない。
この映画が公開されたとき、台湾が反日映画を作った!という声が中国から聞かれたと言うが、 これは反日映画ではないですね。

台湾のことをよく知らなかった友人からは、 「たった90年くらい前の台湾の姿とは想像ができない」という感想がでました。
そっか。まだ事件から100年経ってなかったんですね。



この映画のレビュー

台湾で大ヒットした映画のセデック・バレ。 前後編合わせて4時間以上もある歴史超大作で、
見終わった後はなんでこれをミニシアターでしかやらないのだ!とびっくりするくらいの映画だと思う。
史実を元にしたフィクションだが、時代考証が非常によくねられており、
主役のセデック族がかっこよすぎるところはエンタメとして作られているにせよ、
日本統治時代の日本の描き方はわざと日本の悪さを強調したりせずに、
事実を事実としてきちんと描いている映画なのにも好感をもった。
どこかで「反日映画」と行っている著名人がいたが、そんなことを言う人は
よっぽど真意を読み取る力がないのだと思われます。

霧社 モナルーダオの銅像のサムネイル画像
霧社にあるモナ・ルーダオの銅像
本物は映画ほどかっこよくない。
(映画の頭目がかっこよすぎる!)
日本が台湾を統治し始めた後に起きた台湾の原住民族セデック族との衝突から、 後に霧社事件と呼ばれた日本人を老若男女問わず殺してしまった大暴動など、 台湾統治期の大混乱の様子を史実を元に描いたフィクション映画です。
エンタメとしてもすごいし、その頃のセデック族、日本人の立場などを 徹底的に調べ上げて作り上げた見事な作品。
日本では近代史をまともに学校で教えないので、霧社事件自体を知らない人も多いし、 多くの人に是非見てもらいたいですね。

西洋圏ではこの映画を短くまとめて放映したそうですが、ただ戦っている場面ばかりが際立って、 あまり評判がよくなかったそうです。
日本では台湾版と同じ前後編で放映されたのだけど、歴史の当事者の子孫である
日本人であり、台湾人であるからこそ理解できるともいえた。
映画館でまとめてみたので結構大変でしたけどね。長すぎて。
そして、日本語版のDVDの発売を首を長くして待っており、ようやく買いました。
(そして少しでも台湾に興味を持つ友人がいると貸している。)

日本人にもよく知られる台湾の女優ビビアンスーも出ていますが、 着物を着ており
役名も日本名だったので日本人の役なの?って最初思いました。でも違うんですね。
このビビアンスーの役柄もビビアンスーの旦那様の役柄の人も実在した人物で、
ビビアンスーの役柄の方は事件後に生き延び、歴史の生き証人になった方でした。

セデック族の中でも部落ごとの対立とか、彼らが首狩りをすることがどういう位置づけなのか、
台湾旅行で台湾の原住民族の人たちと出会ったり、本を読んだりして得た知識が、
映像で表現されたことですっと自分の中に流れ込んできました。

日本人は日本人としての立場があり、セデック族にはセデック族の言い分があって、
だから起こるべくして起こったんだろうなぁ。霧社事件は。

首狩りとかのシーンがすごくでてくるので、 それこそ首が飛んでいくので、
そういうのが残虐という理由であんまり宣伝できないのかもしれない。
(実際にあそこまで切れ味のよい刀だとは思いませんけど、そのあたりは作ってある。)

現在の台湾でも漢民族と原住民族で対立とまではいかなくてもやっぱり線引きがあって、
原住民族であることを後ろめたく思っている人もいたというのですが、
この映画によって、原住民族の誇りと勇気も奮い立たせたそうです。
台湾ではわざわざ民族衣装を着て映画を見に行くひともいたそうですよ。

廬山温泉付近にあるマヘボ部落跡の石碑
現在の廬山温泉の近くにある
マヘボ部落の石碑。
野蛮人とは何か。文明人とは何か。
西洋かぶれで遅れをとるまい!とやっきになっていた日本人の姿と、
民族としての生き方を大事にしていた原住民族の姿と。
こういう時代があったことを知らしめてくれた良い映画でした。

いやー、すごかったです。

ビビアンスーの役どころだった、オビンさんの生涯を取材してまとめた本
オビンの伝言を合わせて読むと、映画の背景とリンクしてよくわかります。
ただし、この本は後半はだらだらとした政府批判が多く面白くないです。