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霧台の石板屋(スレート造りの家)集落と団結の教会

霧台を象徴するスレートの石板屋集落の入口
【霧台を象徴する石板家屋と石畳の通り。正面は霧台長老教会】

屏東県霧台に住むルカイ族の集落は美しい石造りの街並み"石板屋集落"が残っていることで有名な地域です。
石板屋というのが頁岩作り、いわゆるスレートでできた家という意味になります。
霧台のルカイ族の集落の他に、屏東県春日郷近くのパイワン族の集落でも見られ、現在でも50軒ほどあるとか。
パイワン族の七佳旧社の石板屋集落は採石場が集落から歩いて2時間かかるところにあったそう。
ちなみに私が散歩して見つけた現在の霧台の採石場と思われる場所もそれでも30分は歩かないといけないかな。
重機がなかった昔を考えると、石板を集落まで運び、さらにそれを使って家屋を作るなんて尋常じゃないというか、
ともかく中途半端な覚悟ではできない作業です。(下手すると採石だけで命も落としそう。)

ルカイ族は彫刻、陶芸、織物などに秀でた民族とも言われており、伝統の再現か、観光客向けかはわかりませんが、
民族文化を表現した石板が集落のあちこちに飾られています。(一部は家屋の壁材に使われたりもしている。)
ただ耐久性が高い建材として石板を使うだけでなく、それに芸術性をプラスするのがルカイの特徴です。

霧台長老教会の入口
芸術家の杜巴男氏がデザインを手がけた霧台基督長老教会がその最たる物。
原住民族の精神で最も重要なのは1に「団結」、2に「人情」。 この二つを融合させ、内部など細部にまでルカイの精神を作り込んだそう。
現在、台湾はユネスコに登録されておらず、世界遺産は一つもありませんが、 このルカイの教会も世界遺産登録運動の候補の一つになっています。

夕食後、ぶらりと集落を歩けば、電動スクーターで教会に続々と集まるお年寄りたちに出会います。
ルカイの精神の象徴たる教会からルカイ語の賛美歌が響く。
その言葉に耳を傾けると、インドネシア語とか南国の言葉にそっくりで、
「台湾の原住民の人たちはやっぱり南の方から渡ってきたのだなぁ」としみじみと感じます。

そして、ミサが終われば、静かな山村の夜が訪れます。


霧台の集落の様子

岩板巷=岩板通り

岩板巷の入口
岩板巷。中国語で巷(ちまた)という言葉には小道とか路地という意味があります。つまり岩板通りです。
スレートを敷き詰めて作った趣のある小道で、陶器製の壺やスレートに施されたルカイの長老や英雄、伝統行事などを紹介した 彫刻作品を眺め、ルカイの文化に浸りながら散歩することができます。
段々畑の畑の壁面にもスレートを使っているのが特徴的。同じ要領で家の壁も作ります。
石板巷はそれなりの勾配があるので、観光バスは巷の上の入口の前で停車し、観光客を下に向かって歩かせます。 かくいう私は宿泊してましたので、上から下から、さらに霧台集落の上の集落からその姿を眺めておりました。
途中、茶店やお土産物(集落のおばあちゃんの手作りの籠など)を売るお店を冷やかすのも楽しいですけど、
観光バスが来る時間しかお店の人がいないなんてこともありますので、そのあたりはご留意あれ。

岩板巷から教会を見上げる 岩板巷を電動バイクで上がる 岩板巷と石板を使った段々畑

霧台のスレートを使った建造物をもう一回紹介

村長の家 スレートを使った屋根材 スレートの壁の一部
スレートを使った建造物やオブジェを綺麗に整えた物が上の状態。 壁は薄くて小さいスレートを重ねた部分と大きな石板を縦に使ったものとが組み合わさっています。
真ん中は屋根に河原のようにスレートを綺麗に使ったおうちです。山の斜面なので屋根を上から見下ろせる。

家屋の入口は低く、腰をかがめないと入れません。コンクリートの柱はなく、すべてスレートを積み上げて造られます。 また、家族が亡くなった時、遺体をスレート家屋の中の地面の下に埋葬し、泥土で覆って地面を平らにするという習慣があったそうです。
集落の近くに石板で作った墓地とみられる場所があったので、現在はその習慣はないと思われます。
崩れた家 スレートで組んだ水道 スレートの加工場所

ルカイの芸術的な彫刻や壁画

霧台国小のヤマユリの壁画
芸術性が優れていると評判のルカイ族の特性は、民族衣装の刺繍や装飾、彫刻などの様々なところで見て取れます。
集落ですぐに目に付くのが霧台国小のヤマユリの壁画です。 その他、バスケットコートや民家の壁面に狩猟の様子などが描かれていたり、イノシシを仕留めた男の像があったり、 壺から直接酒を飲んで酔っ払う男たちの姿があったりと、詳細な説明がなくとも生活文化が垣間見れますよ。

霧台国小のバスケットコート 狩猟する男の像 民家に綺麗に施された彫刻

聖書と教会

教会の十字架
霧台長老教会は外側も見事な石板屋作りですが、中にある大きな檜の十字架も目を見張ります。 これはある高齢の猟師が、山奥の台東と屏東の県境で見つけた木で、 日本統治時代を経てもなお伐採されずに残っていたものを村人が4日がかりで運んだそう。
信者の方がお貸しくださったルカイ語の聖書は2017年に出版された物。 ルカイ語はアルファベット表記だったので、やはり文字はなくアルファベットで表現したのだとわかる。
そういえばプユマのばあさんたちも自分たちの言葉を残すためにアルファベットを使っていると言っていたなぁ。
ルカイ語の聖書 ルカイ語の聖書の中身

台湾の旅に行きたくなったら・・・物価と旅程の目安にどうぞ。

旅行時期:2017年12月
1NT$=約4円
■交通:バス 屏東→霧台 142元、神山→霧台 24元
■その他:総合愛玉子 55元、コーヒー 60元、米酒 55元、教会寄付 100元
■宿泊:夢想之家

■成田-台湾航空券 直行便で30,000円前後~。(参考:H.I.S. 台湾旅行
 台北便はLCC、チャイナエアラインが最も安く、続いてエヴァエア、日系という順で高くなります。
 LCCは夜中や早朝など時間帯が今ひとつな代わりに、台湾に早く到着できるというメリットもある。
 また、日本発が午後便だと台北での活動時間が減るので午前便より安い。
 高雄便もあるけど台北に比べたら本数も少なく、おまけに台北-高雄間は新幹線で2時間。
 お金と日程、旅の目的を計算して上手に選びたい。

 国内線は、台湾の航空会社で直接買うと中国語(繁体字)なので若干ドキドキします。
 今はエクスペディアで定価で買えるので、使うといいですよ。