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プユマ式結婚式:会場を移動して飲み直し。宴会です。

牛車を引く牛がスタンバイ
【プユマの宴会の必需品。米焼酎を台湾版養命酒「保力達」で割る】
プユマ式の結婚式は牛車の入場から始まり、様々な儀式を経て最後に宴会となった。
日本の宴席の場合、ある程度の時間が経過すると司会がしゃしゃり出てきて中締めなどをする。
予め決められた出席者の中のお偉い人が中締めの挨拶などして、一本締めや三本締めで締め、
会場からの大拍手で宴席が幕を閉じる。(それでも飲み食いを続ける人もいるが。)

宴席が「結婚式」ともなればもっと厳格で、キッチリと決められた時間配分で挨拶やら余興やらをはさみ、
最後は花嫁に両親への感謝の手紙を読ませて涙を誘い、新郎新婦と両親が出入口で挨拶しながら
会場内の出席者を全て送り出すという、実に見事に厳格なスケジュールをこなしてゆく。

プユマ式の結婚式がどうかといえば、まず日本のようなキッチリとした時間配分はない。
始まりから終わりまで全てが曖昧で、キッチリに慣れた日本人の感覚ではとてもとまどうのではないかと思う。
また、宴席では主役の新郎新婦たちは鶏酒を持って長老を筆頭にゲストに順番に挨拶をしてまわっていたが、
ゆってみればそれだけで、後はみんな思い思いに飲み食いをしているだけである。

日本の宴会の様に「酒の席は無礼講」とばかりに呑んで酔っぱらう人もいなければ余興も何もない。
「あれ?大猟祭では踊り出す人がいたのにこういう席ではないのかなぁ?」と思っている内に
自然と列席者の数が減ってゆき、いつまにかお開きになっていた。(そういや市長も消えていた。)

結婚式の後のいわゆる二次会
式後のいわゆる二次会?
結婚式のあと今回の式の主催者である高山舞集のリンさん宅に移動。
高山舞集とは1991年創立の台東の原住民歌舞団体。
台湾各地で舞踊公演をしたり若者の育成をしたりしています。
先日の大猟祭の夜にはリンさんが子供の頃から踊りを教えてきた子たちが
大人の男になって尋ねてきたということもあり、感慨深いものがあったそう。
2日前の大猟祭も今回の結婚式も彼女のしきり。
70過ぎてあのパワーはスゴイ物がある。

歌を歌ってくれる女性たち
呑みながら歌う。
ところで、結婚式では会場はだだっ広いし、長老はずらりと並んでいるし、
みんな派手な民族衣装を着てるしで、いささか緊張の色が隠せなかった
日本勢でしたが、こちらの家に移動したところで、ようやくお互いに会話する余裕が生まれた気がする。

そして、リンさんのお姉さん(お姉さんなのでやっぱりリンさんだが。)や兄嫁さんなど 雰囲気を盛り上げようとずっと日本語で歌を歌ってくれていた。
東京音頭やソーラン節など、日本人が口ずさめるような民謡だったり、
草津よいトコ~ではなく「南王よいトコ一度はおいで~」と替え歌だったり、
しまいには、酒を飲め飲め~っていう趣旨のうたがごろごろ出てくる。

出された物は食べる。
私は出された物をまだ食う。
「1本2本3本のミーチュ~(米酒)」
「日本のさーけ、台湾のさーけ、やっぱり台湾の米酒~」
とこんな感じの歌である。おぼえやすいのですぐに一緒に歌える。

ちなみにアトランタオリンピックの時のテーマソングのサビは 台湾原住民族の歌をサンプリングして作ったそうですが、その曲名も「老人飲酒歌」だそうである。
やっぱり宴席と歌は付き物なのかなと思った。

歌っているばあちゃんたちの足下にはカラになった台湾版養命酒「保力達」と米酒の空き瓶がごろごろ。
米酒を保力達で割って飲むのでアルコール度数はかなり薄まるが、それにしても空き瓶の数がスゴイ。
そして、保力達のラベルを見ると「食前もしくは食後に1回30~40cc。1日に3回飲むように」とあるが、
明らかに飲み過ぎ。おまけに保力達にも少しアルコールが入っている。養命酒だから。

そして、それだけ呑んでいるのにみんな全く平然としていて酔っぱらうこともない上に、
最終的にはスクーターにまたがってぶーんと自分で運転して帰ってしまった。
いくら家が近所だとはいえ、80過ぎのばあさんがスクーターを運転することも衝撃的だ。

一方で台東で英語教師をしているというスウェーデン人の妙齢の男性は日本酒が好きらしく、
こちらに時々注ぎつつもがばがばと手酌で日本酒を呑み続けていた。
色白なので特に顔が真っ赤に染まっているし、目は焦点が合わずにうつろ。完全に酔ってるだろ。
しかし彼もまた自分の車に乗り込み、ぶーんと運転して帰ってしまった。残った日本酒を携えて。

台北に飛ぶ日本人や台湾人が飛行機に合わせて去り、知本温泉宿泊組が知本に向かい、
ばあちゃんたちが家族の迎えで一人ずつ帰っていき、少しずつ人数が減る中でなぜか最後までいた私。
しかし、そのお陰でいろんな話も聞けたし、一番楽しんでいたという自負があります。

主役の新郎新婦や親族の方々は気を遣って大変だったと思いますが、この場でお礼を申し上げます。
今頃、家族水入らずでホットしてるだろうなぁ。なんて思いつつ、台東の夜は更けていくのでした。
台湾版養命酒:保力達の成分表示
【台湾版養命酒:保力達の成分表示。台湾の人って当帰好きですね。】

台湾東海岸の旅に行きたくなったら・・・物価と旅程の目安にどうぞ。

旅行時期:2011年12月 1NT$=約2.7円

■交通:バス 台東市内-卑南文化公園 23NT$(最低料金※今回は車で連れてきてもらった。
■宿泊:原住民族文化会館 950~1050元

■成田-台湾航空券 直行便で20,000円前後~。
 台北便は通常チャイナエアラインが最も安く、続いてエヴァエア、日系という順で高くなります。
 ジェットスターなどの格安航空会社も出てきました。年末などの繁忙期は検討の価値もあるかも。
 また、日本発が午後便だと台北での活動時間が減るので午前便より安い。
 高雄便もあるけど台北に比べたら本数も少なく、おまけに台北-高雄間は新幹線で2時間。
 お金と日程、旅の目的を計算して上手に選びたい。

旅程を立てるために参考にした本やウェブサイト
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